群馬大学 共同教育学部 リカレント教育センター

リカレント教育センター概要Outline

准教授 中野 聡子SATOKO Nakano

中野 聡子
中野 聡子
群馬大学 共同教育学部
リカレント教育センター 手話言語教育部門長
PROFILE

筑波大学人間学類心身障害学専攻を経て、筑波大学大学院心身障害学研究科修了。博士(心身障害学)。公認心理師。学校心理士。手話言語の認知/言語発達における研究では、日本初のろう者による博士号取得となった。
東京大学先端科学技術研究センターでは障害者支援機器開発の研究、広島大学と大阪大学では障害学生支援の仕事に従事。かたわら、学術手話通訳養成の研究に取り組み、関連論文を多数発表。群馬大学では日本手話・手話通訳教育の研究と教育実践を行い、また、特別支援学校教諭免許(聴覚障害領域)に関する科目を担当している。

主な著書

・共著『聾教育の脱構築』(明石書店、2001年)
・単著『大人の手話 子どもの手話 ―手話にみる空間認知の発達―』(明石書店、2002年)
・共著『手話による教養大学の挑戦 ―ろう者が教え、ろう者が学ぶ―』(ミネルヴァ書房、2017年)
・オンライン学術手話通訳教材集 https://sl-interpreting.org/ (2019年6月公開)
・共訳『デマンド・コントロール・スキーマ 対人専門職としての手話通訳 倫理的・効果的な意思決定のために』
(明石書店、2022年)

私は5歳で失聴し、小学校からずっと通常校で学びました。勉強は独学、友人とのコミュニケーションはできるだけ避ける——そんな孤独な日々を送っていました。人生が大きく変わったのは、大学に入ってからです。そこで手話と出会ったことが転機となりました。授業や日常生活で「だいたい聞き取れている」と思い込んでいたことが、実はどれほど不確かで曖昧だったかに気づき、衝撃を受けました。大学では、手話サークルの友人たちがシフトを組んで、有償ボランティアとして授業通訳をしてくれました。そして何より、手話を使うことで私は人と関わり、ふれあい、人間らしさを取り戻すことができたのです。大学院進学後は、ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業の一環としてアメリカに1年間留学しました。そこで出会ったのは、まさに“Deaf people can do anything except hear.”(ろう者は聞くこと以外、何でもできる)を体現する人々と社会でした。「聞こえない自分にできないことなど何一つない」と確信するに至りました。

ろう者が安心して社会生活を送り、能力を最大限に発揮して活躍していくには、手話通訳者の存在が不可欠です。日本における手話言語・手話通訳教育はいまだ十分に整備されておらず、欧米諸国と比べて大きく遅れをとっています。この遅れを解消し、「手話言語・手話通訳教育のグローバル・スタンダード」に追いつくために、私はCEFR-JSL(ヨーロッパ言語共通参照枠の日本手話版)の開発や、それに基づくカリキュラム、授業、教材、評価法の研究と教育実践に力を注いでいます。私たちの研究と教育実践が、聞こえない子どもや大人たちのインクルージョンを支える人々の輪を広げるきっかけとなることを、心から願っています。


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